第7章 医療ミス

 

医療ミスは、どのようにして起こるか。とくに看護に焦点を当て、要点を列挙する
看護のヒヤリハット事例平成12年 11,148件  
以下の3つに分類できる  

1)患者のケア 
  2)医師の指示による業務 
  3)観察情報

1)

1)患者のケア 
転倒転落 15.7% 
医師の指示による業務 注射・点滴 31.4%
与薬(投薬) 12.9%
チューブのはずれ・閉塞 6.3%

事例 2000.10.9 九州 男性点滴治療
看護師が同室の別の患者の抗ガン剤を誤って投与

 

2000.10.7 東京 気管切開患者 20代の看護師 (前日より体調悪い)
誤って開口部のない内筒をつけ、呼気が排出不能 患者の呼吸を確認せず 

与薬エラー

発生要因と各レベルで求められる対応
エラー発生要因
  1) 情報伝達の混乱
  2) エラーを誘発する「もの」の   デザイン
  3) エラーを誘発する患者の類似性、同時性
  4) 準備、実施業務の途中中断と不確かな業務連携
  5) 不透明な作業区分と狭い作業空間
  6) 時間切迫
  7) 薬剤知識の不足
  8) 新卒者の知識不足
  9) 全体

エラー発生要因

1) 情報伝達の混乱
複数の情報伝達媒体が同時存在 (指示簿、注射箋、転記物)
不統一な指示記載
不正確な伝達媒体
(転記、口頭指示)
変更・中止指示の伝達不備
2) エラーを誘発する「もの」のデザイン
薬剤: 類似した外形・名称と不揃いの規格、単位
医材: 類似したライン
機器: 誤りやすい操作と新旧メーカーによる操作設計の不統一性
輸液ポンプ 滴下数・流量セット 
入力モードが分かりにくいデザイン

3) エラーを誘発する患者の類似性、同時性
類似性: 同姓、類似した外形・病態・治療
同時性:  同時検査同時手術を同時点滴更新
バリエーション: 患者や病態の変化にも応じた幾多の処方
4) 準備、実施業務の途中中断と不確かな業務連携
突発的事項の発生
看護業務以外での中断
(電話などの事務業務)
業務連携の際の伝達不良
5) 不透明な作業区分と狭い作業空間
狭隘あるいは非機能的な準備台や物品台
他業務と共用する準備台や準備室
6) 時間切迫
業務量、業務密度と労働力
個人の処理能力のミスマッチ 
背景要因
「多くの点滴を何時までに、しなければならないが、遅れている」
「患者の急変であわてていた」

対策の一つとしてIT技術の援用がある。

(IT は、システムのコミュニケーションに関する技術) 

総合判断、臨機応変な対応など、旧来のシステムそのものを変える

バーコード入力 PDA  ハンディターミナル
(手のひらサイズの端末) 

医療行為投薬 注射 点滴 輸血
患者のID リストバンド方式
薬剤 入力医療行為

「いつ、どの医師や看護師が、どの患者に対して、何をしたか」
ミスは、端末へのアラーム

リストバンド 
時計型 これから、体を通して流れる電波信号で、本人の認識番号がシステムに送り込まれる。
IT技術の未来応用 手に持った瞬間、自分の装置に

まとめ
 IT 時代 総合判断、臨機応変 時間切迫

用語

インシデント 
日常の現場で、「ひやり」「はっと」した経験 実際に患者に施行する前に気づいた状況

アクシデント 
実際に、患者に悪影響があると想定することが
行われた状況インシデント

以上 2011年度のテキストの公開は、これですべて完了