圧縮ひずみ特性は、こんなに違う

クッション素材の選び方

総合評価

(この情報は、椅子だけでなくマットレスや枕など、弊社の多様な製品に関しています。

したがって、ここで扱います。)

今回は、ウレタンフォーム以外のクッションを対象とします。

まず素材を紹介します。

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図1 クッション素材 3種類

素材を選ぶときには、素材の特性 荷重変位(圧縮ひずみ)曲線を測定します。この曲線について解説します。

まず、クッションを押して、次に戻す様子を次の動画でご覧ください。

上の動画の押すと戻すの二つの運動を圧縮(荷重)と変位(たわみ率)の関係で表したのが、図2 です。

圧縮ーたわみ曲線(描き直し)

図2 圧縮(荷重)と変位(たわみ率)の関係の図解

ウレタンフォームの場合を図3に示します。

荷重変位曲線+ウレタン

図3 荷重変位曲線 ウレタン3種

図3の3種類のウレタンフォームは、それぞれ大きな違いがあります。しかし、今回取り上げた他の素材と比べると

共通した特徴があります。それは最後にまとめて列記します。 図中の大きな矢印は、ウレタンフォームの大きな特徴です。 最後に述べます。

次に3Dコイルです。

3Dコイル 特性

図4 荷重変位曲線 3Dコイル

ウレタンフォームと比べると、荷重初期の変位がスムーズです。また最大荷重も3000ニュートン以上と大きいです。

図5 ストロー 特性

図5 荷重変位曲線 ストロー

これは、変わった曲線です。図2で押し込みと戻しの差が大きいころ、すなわち面積が大きいのはウレタンフォームの

特徴です。その点は同じですが、荷重初期の変位がスムースであることと、最大荷重が2500ニュートンと大きい点は

ウレタンフォームと大きく違います。この測定は、座布団の中にストローを(細断したものを)いっぱい詰めて行いました。 それを上から

押すのですが、そのとき座布団のなかで細断ストローが右左と動きます。そのため、かなり不安定な測定結果です

再現性は、ほかのソリッドなものと比べて低いでしょう。

次は、シリコンコーティングの綿です。図6をご覧ください。

図6 綿 特性

図6 綿(シリコンコーティング)の荷重変位曲線

この場合も、荷重初期の変位がスムーズです。しかし最大荷重は200ニュートンときわめて低いです。 次に、いままでの曲線を重ねると図7のようになります。


Print図7 ウレタン・3次元コイル・ストローの曲線を重ねる

まとめ 4種類のクッションの特徴

(1)ウレタンフォーム

ウレタン 短評 使用頻度多く実績がある。JISも出来ている。安心であるが、不潔素材か。世間のクッションのほとんどがウレタンフォームなので気が付かないが、荷重初期の反発が強いことを嫌う専門家も少なくない。

最大荷重が低めなので、底に硬く持ちこたえられるウレタン(チップ)を用いることや、厚さを増やして座面のクッションとします。使用頻度多く実績があることは、安心につながるとはいうものの、ゴミやダニが付き不潔になりがちで、洗浄に向いていないことは、もっと神経質になってもよいと思います。その点で、以下のいくつかの素材は、もっと検討してもよいと思います。

(2)  3Dコイル (エアと略称する) 短評 細いポリエチレン樹脂を三次元的に絡めあわせてスラブや円筒に成型。特性は金属バネに近い反発性をもつ。マットレス使用では耐久性に疑問ありです。

業界の結束や技術サポートが無いのは、ウレタンフォームに比べて弱点で、使用時不安がありあす。

そもそも公式名称もないようです。(研究論文では利益相反をチェックされるので商品名は使うのを避けたほうが良い。そこであえて3Dコイルと命名した次第)

図4で分かるように、押しと戻りの曲線が近く、図2の面積M が小さいことが特徴で、金属バネに近い。洗浄も比較的にたやすいことを実証しました。スポーツ選手などタレントを広告塔に大量販売のマットレスメーカの「よくある質問」で耐久性について、長期間使用できますと一言だけです。しっかり科学的な実証を示してメーカーの責任をはたしてほしいものです。

(3) ストロー 短評 プラスティックのパイプを細断した素材。これを袋に詰めて形状を作る。

荷重初期の反発が低く、戻りは遅い。最大荷重がきわめて大きい。袋に詰めたストローが圧縮時動くので、レオロジカルな感触も認められる。

図5のように最終荷重が抜群に大きく、荷重初期の反発が低いです。押しと戻りの曲線がの間が広く、図2の面積M が大きいです。このような特性は、低反発ウレタンフォームに似ておりますが、感覚的には低反発的でありません。圧縮に連れて、袋に詰めたストローが左右前後に動くので、流動感(レオロジー)がかすかに感じられます。使用量が多いためか、様々な硬さの素材が入手可能です。

(4) 綿(シリコンコーティング)短評 荷重初期の反発が低い。最大荷重はきわめて小さい。図2の面積Mは、小さく戻りは早いようです。綿を座には使えないでしょうが、背当てには使える場合もあるでしょう。洗濯は出来ないので、清潔性は劣るでしょう。

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